約4年半前に遡ります。
イケイケドンドンな社風で知られる東京の出版社で働いていた僕は、その日も遅くまで残業。 終電後、タクシーで帰宅し一人きりの夜食を済ませ、丁度、寝床に入る前にメールをチェックをしようとしていました。
パソコンの電源をONにすると、スカイプに数件の留守電。そこにはドキュメンタリー映画作家をしているアメリカ人の親友から「早く折り返ししろ、早く折り返ししろ」という興奮でうわずった声が録音されていました。
早速、サンフランシスコに居る彼の携帯に返信、電話が繋がるや否や、その後の僕の人生を変えてしまう提案がなされました。
「ハリウッドの人気コメディー監督から『ハピネス』についてのドキュメンタリーをつくらないか、って打診があった。 製作資金は出資してもらえる。ついては俺のパートナーになるプロデューサーが必要で、是非、お前にお願いしたい。」
いつも唐突な話をしてくる友人だが、今回は特に唐突。どうも経緯はこうらしい。
数日前、そのコメディー監督が自宅豪邸の在るビバリーヒルズ近くの喫茶店で新聞を読んでいると、世界で最も幸せな国はバングラディッシュという記事が。 小さい頃からの夢を実現し、ハリウッドのコメディー界で最もギャラの高い監督となるまで出世した彼だが、大ヒット作を何度も飛ばしビバリーヒルズに豪邸を構えるまでの成功をおさめても、ハピネスを実感出来ない毎日。 周りを見回すと、世界でおそらく最も金持ちで、最も権力を持ち、最も美しいと羨望される人間に囲まれているが、実際に知り合ってみると実は誰も幸せそうでは無い。 その一方、世界最貧国のひとつであるバングラディッシュの人々の幸福度が高いのであるならば、明らかに我々が盲目的に信奉している価値観が間違っている。
そこで、その真相、「ハピネスって何なのか」そして「どうしたら人間はより幸せになれるのか」をテーマにドキュメンタリーがあるべきだ。 君たち、出来そうだから宜しく頼む、とのこと。
友人からは「渡米し映画をプロデュースすること」を暫く検討してみてくれ、ってことでその夜の会話は終わったものの、翌朝には僕の気持ちはガチガチに固まっていた。
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テーマ : 心と幸せ
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